妖怪大戦争 ― 2005/08/13 09:43
子供がCMを見て行きたがっていたので見てきました。
昔の映画(西洋妖怪と日本妖怪が戦う)のリメイクだと思い込んでいたので正直最初は全く見る気はありませんでした。ところがふとTVの特番(だったかな)を見たら敵は加藤保憲だと言うではないですか。加藤ですよ、加藤。あの帝都物語の加藤です。映画はかなりつまらなかった印象がありますが小説は好きでした。で、「なんで加藤が??」と思いググってみると帝都の著者である荒俣宏が原作小説を書いているということがわかり取り寄せて読んでみて・・・うーん、帝都の時と違いジュブナイル的に書いてある(にしてはハードカバーにして1600円にするのはどうかと・・・)のでソフトな感じなのはともかく、「真っ白な嘘」と終わり方がすっきりしないのと加藤の出番が思ったより少なくてちょっとガックリ来ていました。
原作がそういう状態だったので映画はどうなんだろう、と心配していたのですが、実際見て見ると面白かったです。やはり子供向けだっていうことは否めませんが劇場には結構人が入っていました(邦画の特撮ものだとまばらな事が多いのに。帝都の時はもろにそういう状態)し、あちこちからクスクス笑いが聞こえてきましたですね。何しろ妖怪たちがグダグダで「妖怪大戦争」と言っていながら戦争をしているつもりなのは加藤と主人公のタダシとごく一部の妖怪たちだけで、最終的には100万以上の妖怪が集結しますが、彼らは大きなお祭り(か盆踊り)を東京でやっているとしか思っていません(笑)。気になった「真っ白な嘘」と終幕にするポイントも悪くは無いところでしたし。
面白かったのです。面白かったのですが、帝都破壊を目論む悪のヒーロー(?)加藤が平凡な少年のひと夏の冒険のラスボスにされてしまったのがちと悲しかったです(実際倒すのはタダシでは無いですが)。やはり加藤を倒すにはそれなりの強烈なキャラクターが欲しかった。帝都では幸田露伴や三島由紀夫、角川春樹(笑)って感じで歴史上実在の有名人だったのも面白かったのですが。(それでも倒せなかったのですけど・・・)
豊川悦司が加藤っていうのもなあ・・・。やはり加藤は嶋田久作にやってほしかったですね。荒俣氏もそうとう彼が気に入っていたみたいで、映画版帝都をやった後は加藤の風貌は嶋田氏そのものを描く様になっていましたしね。帝都は映画的には失敗しましたけども、加藤保憲という強烈なキャラクターを生み出すということには成功したわけで、それ自体はやはり嶋田氏の強い個性ですし。
最後の「豆?!」という台詞はトヨエツじゃないと無理だったかなとは思いますが(;^-^;)
妖怪大戦争 (角川文庫)
妖怪大戦争 (角川文庫)